Saturday, September 03, 2005

銀河のさすらいびと



表紙イラストを萌えというか、現代向けにして甦るハヤカワSFとかFTのシリーズのうちの一作品、銀河のさすらいびと。初出は1967年。作者は1993年に他界。

挿絵はエナミカツミ、公式サイトはnamihei's room

以前の表紙をサボテン島のハリネズミで見ることが出来ます。

銀河のさすらいびとの物語は、スペースオペラという名の作法にのっとって進んでいき、最後は安心のハッピーエンドで終わります。複雑なことを考えずに読める構成になっていますので、残暑の折、クーラーの無い部屋でも熱暴走をすることなく読み上げることができるでしょう。じっさい、できました。

作品は、全体的にテンポが早いのが特徴です。ちょっと早すぎるかもよ? みたいな、主人公のたどる旅程と情景描写のカッ飛び具合いが、受け入れる人を選ぶかも知れません。もしかすると、銀河のさすらいびと一冊で、E・Cタブのデュマレスト・サーガ十冊平均よりも多くの星を移動しているかもしれません。

なお、キャラクターの描写で混乱させる要素は少ないので、テンポが早いと言っても、キャラクター小説として楽しむ分には、まったく問題ありません。表紙のお姉さんがヒロイン(やる気無し系)で、表紙のあんちゃん(細身だけど後半は経験値を稼ぎタフガイにクラスチチャンジ)が主人公です。横の猫は主人公のペット・冒険のパートナーです。そして、作中では、悪そうだと思ったヤツは悪いし、悪そうだけどいい人かもねと思った人物はいい人なのです。わかりやすい仕上げになっています。ですので、主な購入の判断要素としては、表紙イラストに帰着するでしょう。

すなわち、表紙を見て、タイトルを見て「あー、これは面白そうかも、自分にあいそうかも、スペースオペラかも」と思えば、買っても大丈夫です。表紙を見て、タイトルを見て、あれ、他に攻略可能(?)なキャラが出てくる別ルートは無いの? と思ったら、やめておきましょう。ヒロインは一人です。

なお、ハヤカワ文庫の場合、表紙しかイラストが無い場合が多いっつーか、ほとんどなので注意が必要です。銀河のさすらいびとも、表紙以外にはイラストはありません。罠。