Tuesday, March 28, 2006

長距離走者の孤独

ぱらぱらと読了。あいかわらず鼻づまりで寝不足で軽く熱っぽいなかで、なんとは無しに積読を一冊片付けてみました。長距離走者の孤独、アラン・シリトー。新潮社の百冊によく入っている一冊で、表題作の他にも数編が入っている短編集でした。長距離走者の孤独で一冊になっているかと思っていたら違っていたという。他の驚きとしては、アラン・シリトーが、まだ生きているということでしょうか。検索してわかりました。兵役について体を悪くし除隊して余命が短いはずだったんじゃあ、他の作家と間違えている?

長距離走者の孤独は、いまさらどうということもありませんでした。思ったよりも娯楽性が強かったのが意外と言えば意外でした。鼻づまりで眠れないので、眠たくなる古典でも読もうかと思って手に取ったのですが、眠くなることはありませんでした。なんというか、暴力控えめの新青春エンタってなもんで、登場人物の倫理観は高いものがあるなあと、今の時代なら。現代に読むと娯楽ですが、発表当時は別の受け取られ方をしたようです。

英語の訛りの部分は原本を読まないとわからないようです。もっとも原本と読むことは無さそうなので、このまま分からないままで一生を終える予定。他の話であぶなめなのがあったので、そっちの方が印象に残っています。少年少女を襲う・狙う率が高すぎ。あと、当時からイギリスでサッカーの試合が生活に占める割合が高い層ってのがしっかりとあることが確認できて少し笑えました。ひいきの地元サッカーチームが負けたので機嫌を悪くして女房を殴って、女房が子供を連れて出て行くまでで一編書きましたとか、なんてステキで普遍的なんでしょう。