Monday, May 29, 2006
魔の星をつかむ少年 著 鈴木悦夫 絵 伊藤良子 価格情報追加
鈴木悦夫著の、ハイパー伝奇ものです。学研の雑誌に連載されていました。物語後半、万年筆に仕込まれた斬糸で攻撃する主人公と、今で言うクールデレなヒロインが、一部の人間の心に残っていたようです。なんでも、雑誌と単行本では物語のラストが違うようなのですが、ちょっと確認できていません。
ライトノベル板でまれに話題に上っていました。いまま現物を見たことがなかったのですが、機会があり現物の表紙をスキャンすることができ、他にも、さくっとイラストをスキャンして見ました。絵的に古いのがご愛敬といいたいところですが、出版自体が二十年前なので、実際に古いのです。雑誌・学研『5年の学習』連載(昭和60年!)時のタイトルは、『魔の星が帰る日』だったとか。
なお、ここでいう魔の星というのは、ハレー彗星をイメージしているようです。以前にハレー彗星が地球に接近したのは、1986年、ちょうど『魔の星をつかむ少年』が出版された年です。ハレー彗星にあわせて書かれた物語ということになります。次回にハレー彗星がくるのは2061年のようです。
表紙イラスト、挿絵は伊藤良子です。伊藤良子せんせいの絵は、なかなかに飛ばしていて、時を経てみた人は感動もひとしおなのではないでしょうか。連載では見ていたけど、単行本は初めてという人には衝撃が大きいかもしれません。伊藤良子イラストは、ジャイブのカラフル文庫ぼくらのミステリークラブで最新作を見ることが出来ます。驚き、というか、感慨深いものがあります。伊藤良子先生は1958年生まれです。新旧を比較して見ると、背中に熱いものが走りました。
古い方の表紙。
新しい表紙。
い、伊藤良子はPC導入を果たしているッッッ! あと、服装にアドバイザーがついた、もしくは、近所にユニクロかしまむら、あるいはイオンショッピングセンターでも出来たのか、キャラの服装であるおかん服の進化が伺えます。白い背景をトーンワークで誤魔化すテクも向上しているやら、女子学生キャラのスカートが短くなる等の世相も反映しており、愚地独歩とどっちが現役かっつーぐらい、伊藤良子は現役の萌え絵士のようです。
キャッチーなので伊藤良子のイラストにばかり話が行ってしましました。やはり、そこら辺はイラストに騙された名無しさんという名を持つライトノベル板住民の悲しいサガなのかもしれません。もっとも、魔の星をつかむ少年をまだ読んでいないので、これは仕方のないことなのです。でも安心してください、けっして積む読にはしません。今度ハレー彗星がくるまでには、ちゃんと読んで感想をあげます。じゃあ、そういうことで。
――と、逃走したかったのですが、Bloggerの画像レイアウトの都合上、文章を追加しなくてはならなくなりましたので戻ってきました、とほほ。しかし、鈴木悦夫は『幸せな家族―そしてその頃はやった唄』のイラストが新井苑子だったりして、プレミアム確率の高い作家とも呼べるかもしれません。読者、いや、かつての読者泣かせですなあ。新しい作品を出すよと言いつつ、ひたすらNC旋盤を回しているらしい作家(小関智弘ではありません)にくらべると、新刊が出るだけ良いのかも。
魔の星をつかむ少年は、弾数は出ているようなので、オクで競り合いをしなければ、一万円とかにはならないでしょう。現在、幸せな家族の方は、数千円で逆オークションが掛かっています。妥当なお値段かも? 幸せな家族は、新井苑子マニアかミステリでお金持ちの人と競合したら大変かもしれません。
魔の星をつかむ少年は2千円で募集有り。このくらいの価格だと、セドラーからの供給もぼちぼち始まると思います。読むだけなら、さらに簡単と思います。魔の星をつかむ少年は、6刷以上出ているので入手は十分可能と思います。欲を言えば、カラフル文庫から、新しい伊藤良子のイラストをつけて復刊させて欲しいものです。
魔の星をつかむ少年(魔の星が帰る日)に言及しているスレッド
小説の題名・作者名がわからない★質問スレ1
●スレを立てるまでもない質問・疑問・雑談34●
上記二つはライトノベル板のスレッドでしたが、別板にも言及があるスレッドを発見しました。
学年誌(小学○年生・学研科学と学習)漫画スレ
伊藤良子がすたじおぴえろ勤務だったという情報がありました。
ぼくの・ミステリーなぼく: 紀伊國屋書店BookWebの著者紹介に情報がありました。伊藤良子は中央美術学園卒業後にスタジオぴえろに勤務し、その後にイラストレーターになった模様です。
ということは、当時、参考にしていたの服装は、周りの人間の服装やもという推測が成り立ちます。あと、消失点の数やら、集中線の引き方などの技法のルーツも、スタジオぴえろ由来で、そのまま道を間違っていたら、鳥海永行つながりでソノラマ、電撃文庫のイラストを描いていたのかもしれません。
もちろん、萌え絵士として。
万年筆に仕込まれたワイヤーを試す主人公。菊地スレでの考察だと、山田風太郎からさかのぼって歌舞伎の蜘蛛の糸を客席に向かって投げ倒す芸に由来しているとか。
雑誌連載時は死んだヒロインが、単行本では別シナリオルートに突入して生き残る(らしい)の図。きっと、苦情・助命嘆願書が殺到したんでしょうなあ。
追加:参考価格を知るべく、amazonのマーケットプレイスに出品しようしてみました。マーケットプレイスに出品しようとすると、予約があるかどうか、そして、希望予約価格の平均がわかるのですが、現時点で、魔の星がかえる日の平均予約価格は3500円でした。上限価格は5000~6000円になっているのかも。一品も成立していないので価格形成がなされていないのですが、成立すれば数も出てくるかなと思っています。ちゅうか、自分も出品用に探したおします。キラーン。